私は現在、オルカンを資産形成の中心にしながら、NASDAQ100をサテライトとして保有しています。
オルカンは、日本を含む世界各国の株式へ1本で分散投資できる投資信託です。
しかし、全世界へ分散しているからといって、値下がりしないわけではありません。
投資を始めたばかりの頃、私は次のような疑問を持っていました。
世界的な不況が起きたら、オルカンも大きく下落するのではないか。
円高や円安になった場合、円で表示される評価額はどうなるのか。
将来、米国以外の国が成長した場合にも対応できるのか。
以前の私は、こうした疑問に対して、
オルカンには自浄作用があるため、暴落しても問題ない
と単純に考えていました。
しかし、オルカンの仕組みを調べると、「自浄作用」という言葉だけでは説明が足りません。
オルカンには、
- 世界の株式へ広く分散できる
- 国や企業の時価総額に応じて構成比率が変化する
- 外国株式を保有することで日本円だけへの集中を避けられる
という特徴があります。
一方で、
- 世界的な株安
- 円高
- 長期的な市場低迷
- 為替変動
- 元本割れ
のリスクは残ります。
この記事では、オルカンの株価と為替の関係、国別比率が変化する仕組み、暴落時に考えておきたいことを整理します。
- オルカンは世界中の株式へ投資する商品
- オルカンが「ゼロになる話」と「暴落する話」は分けて考える
- オルカンの評価額は「株価」と「為替」の両方で動く
- 世界株安と円高が重なると、円換算では下落が大きくなりやすい
- 円高になれば、生活費が同じ割合で下がるわけではない
- 円安ならオルカンは必ず得なのか
- オルカンは「円安へ賭ける商品」ではない
- 「日本円だけを持つリスク」と「株式を持つリスク」は別物
- 国別比率はどのように変わるのか
- 「自浄作用」ではなく、時価総額に応じた入れ替え
- どの国が成長しても、必ず利益が出るわけではない
- オルカンが暴落したときの私の方針
- 暴落は「セール」ではあるが、ボーナスステージではない
- オルカンを保有していても、NASDAQ100を増やしすぎない
- 私がオルカンを保有し続ける理由
- まとめ:オルカンは万能ではないが、世界へ分散する手段になる
オルカンは世界中の株式へ投資する商品
一般に「オルカン」と呼ばれているのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。
このファンドは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、通称MSCI ACWIへの連動を目指しています。
MSCI ACWIは、先進国と新興国の大型株・中型株を対象とし、世界の投資可能な株式市場の約85%をカバーする指数です。MSCIの資料では、23の先進国市場と24の新興国市場で構成されています。(MSCI)
そのため、オルカンを保有すると、
- 日本
- 米国
- 欧州
- カナダ
- オーストラリア
- 新興国
などの株式へまとめて投資できます。
ただし、世界中のすべての会社を均等に保有する商品ではありません。
国や企業の比率は、主に株式市場での時価総額などに基づいて決まります。
規模の大きい企業や市場の比率は高くなり、規模の小さい企業や市場の比率は低くなります。
オルカンが「ゼロになる話」と「暴落する話」は分けて考える
オルカンの価値が文字どおりゼロに近づくには、投資対象である世界中の株式がほとんど価値を失うほど、極端な事態が必要です。
ただし、
ゼロになる可能性が低いから安心
という考え方は危険です。
投資家が現実的に備えるべきなのは、ゼロになることよりも、
- 30%程度下落する
- 一時的に半値近くになる
- 長期間、購入価格を下回る
- 円高によって円換算の損失が拡大する
といった状況です。
金融庁も、NISAで投資する商品には元本保証がなく、投資信託などのリスク資産が一時的に半減することもあり得ると説明しています。(金融庁)
全世界へ分散していても、オルカンは株式中心の商品です。
預金のように元本が守られる商品ではありません。
オルカンの評価額は「株価」と「為替」の両方で動く
オルカンには日本株も含まれていますが、資産の多くは海外株式です。
そのため、円で表示される基準価額は、外国株式そのものの値動きだけでなく、円と外国通貨の為替変動からも影響を受けます。
金融庁も、外国株式や外国債券、外国資産へ投資する投資信託には、価格変動に加えて為替変動があると説明しています。(金融庁)
大まかには、次のように考えられます。
| 外国株式 | 為替 | 円換算の評価額への影響 |
|---|---|---|
| 上昇 | 円安 | 上昇が大きくなりやすい |
| 上昇 | 円高 | 上昇が打ち消される場合がある |
| 下落 | 円安 | 下落が和らぐ場合がある |
| 下落 | 円高 | 下落が大きくなりやすい |
実際には複数の国と通貨が含まれるため、これほど単純ではありません。
それでも、
オルカンの値動きは、外国株式の価格と為替の両方で決まる
という基本は押さえておきたいところです。
世界株安と円高が重なると、円換算では下落が大きくなりやすい
以前の私は、
暴落時には為替が損失を相殺してくれる
と考えていました。
しかし、為替が必ず守ってくれるわけではありません。
外国株式が下落すると同時に円高が進めば、
- 外国通貨で見た株価が下がる
- 外国通貨を円へ換算した価値も下がる
という二つの影響が重なります。
たとえば、外国株式が20%下落し、同時に円が外国通貨に対して大きく上昇すれば、円換算の評価額は20%以上下落する可能性があります。
反対に、外国株式が下落しても円安が進めば、円換算での下落幅が小さくなる場合があります。
ただし、どちらの組み合わせになるかは事前に分かりません。
暴落時には必ず円安になる
暴落時には必ず円高になる
とは決めつけられません。
円高になれば、生活費が同じ割合で下がるわけではない
円高になると、輸入品や海外から仕入れる原材料の価格を下げる方向に働く場合があります。
しかし、円高になったからといって、日本国内の生活費が直ちに同じ割合で下がるわけではありません。
商品の価格には、
- 人件費
- 家賃
- 輸送費
- 電気代
- 原材料費
- 税金
- 企業の価格設定
なども影響します。
そのため、
円高でオルカンの評価額が下がっても、国内物価が下がるから問題ない
とは言えません。
円高には輸入価格を抑える面がある一方、海外資産の円換算評価額を押し下げる面があります。
どちらか一方だけを見ず、資産と生活の両方への影響を分けて考える必要があります。
円安ならオルカンは必ず得なのか
円安になると、外国通貨で保有している株式の円換算額は上がりやすくなります。
外国株式の価格が変わらなくても、円の価値が下がれば、円で表示される評価額が増える場合があります。
そのため、オルカンを持つことは、
資産を日本円だけで保有しない
という意味では一定の分散になります。
金融庁の資産形成に関する解説でも、外国株式などを保有することは、日本円だけへの集中から離れる一つの方法として説明されています。(金融庁)
ただし、円安で評価額が上がっても、生活面では、
- 輸入品
- エネルギー
- 食料品
- 海外サービス
などの価格が上がる可能性があります。
円換算の資産が増えても、同時に生活費も増えれば、実質的な購買力が同じように増えるとは限りません。
したがって、
円安になればオルカン保有者は無条件で得をする
というものでもありません。
オルカンは「円安へ賭ける商品」ではない
オルカンを購入する目的は、為替の方向を当てることではありません。
私がオルカンを保有する目的は、
- 世界の株式へ分散する
- 日本一国だけへ資産を集中させない
- 長期的な世界企業の成長へ参加する
- 将来どの国が伸びるかを自分で決めない
ことです。
円安になれば円換算の評価額を押し上げる場合がありますが、円高になれば反対の影響があります。
為替は利益の源になることもあれば、損失を拡大することもあります。
つまり、為替はオルカンを守る仕組みではなく、オルカンの値動きを構成するリスクの一つです。
「日本円だけを持つリスク」と「株式を持つリスク」は別物
以前の記事では、日本円を「沈みかけた船」、オルカンを「世界の大船」のように表現していました。
しかし、現金と株式は役割が異なります。
現金には、
- 価格変動が小さい
- 生活費としてすぐ使える
- 相場下落時に株を売らずに済む
- 近い将来の支出へ備えられる
という役割があります。
一方、株式には、
- 長期的な成長を期待できる
- 企業利益や経済成長の恩恵を受けられる
- インフレや円安へ対応できる場合がある
という特徴があります。
ただし、株式は短期間で大きく下落する可能性があります。
金融庁も、値動きの異なる国内外の株式、債券、不動産などへ分散することで、価格変動をある程度抑える考え方を紹介しています。(金融庁)
私は、
現金かオルカンか、どちらか一方だけを持つ
のではなく、
- 近く使うお金と生活防衛資金は現金
- 長期間使わない資金は投資
- 投資の中心はオルカン
という形で役割を分けています。
国別比率はどのように変わるのか
オルカンが連動を目指すMSCI ACWIは、時価総額を基準とする指数です。
MSCIは、市場規模や流動性などの基準に基づいて指数を構成し、市場の変化に合わせて内容を見直しています。(MSCI)
ある国の企業価値が相対的に大きくなれば、その国の比率は上がりやすくなります。
反対に、企業価値が相対的に小さくなれば、その国の比率は下がりやすくなります。
たとえば将来、
- 日本企業の時価総額が大きく増える
- インド企業の存在感が高まる
- 米国企業の時価総額が相対的に下がる
といった変化が起きれば、指数内の国別比率も変わる可能性があります。
投資家が自分で、
次は日本が伸びそうだから日本株を増やす
次はインドが伸びそうだからインド株へ乗り換える
と判断しなくても、市場での時価総額の変化が指数へ反映されます。
これが、オルカンを保有するメリットの一つです。
「自浄作用」ではなく、時価総額に応じた入れ替え
指数の構成企業や国別比率が変化する仕組みは、しばしば「自浄作用」と表現されます。
私も以前は、
業績の悪い企業が自動的に排除され、強い企業だけが残る
と理解していました。
しかし、この言い方には注意が必要です。
指数の入れ替えは、
- 投資家の損失を防ぐ機能
- 倒産前に必ず売却する機能
- 優秀な企業だけを選別する機能
- 暴落後に価格を回復させる機能
ではありません。
時価総額が下がった企業は、比率が下がったり指数から外れたりする可能性があります。
しかし、比率が下がるまでに、その企業の株価下落による影響は受けます。
また、時価総額が大きい企業でも、その後に株価が下落することがあります。
したがって、より正確には、
市場の変化に応じて、構成銘柄や比率が見直される仕組み
と考えるのがよいと思います。
どの国が成長しても、必ず利益が出るわけではない
オルカンは世界各国へ分散しているため、将来の成長国を自分で予想する必要を減らせます。
ただし、
伸びた国を自動的に取り込むから、必ず利益が出る
とは言えません。
株式のリターンは、
- 企業利益
- 購入時の株価
- 市場の期待
- 金利
- 為替
- 政治や規制
- 投資家の需要
などから影響を受けます。
経済が成長しても、購入時の株価が高すぎれば、投資リターンが低くなることがあります。
反対に、経済成長が緩やかでも、株価が割安だったことで高いリターンが出る場合があります。
世界へ分散することは予測の失敗を減らす方法の一つですが、利益を保証する仕組みではありません。
オルカンが暴落したときの私の方針
オルカンを長期保有するなら、購入前に大幅下落を想定しておく必要があります。
私は、暴落が起きた場合に次の方針を取ります。
生活防衛資金を投資へ回さない
生活費や近い将来に必要な資金は、投資とは分けて現金で保有します。
相場が下落したときに生活費が必要になり、含み損のまま売却する状態を避けるためです。
感情だけを理由に売却しない
株価が下がったことだけを理由に、すべて売却しません。
投資目的や保有期間が変わっていないなら、当初の方針を確認します。
無理に追加購入しない
暴落時は同じ金額で多くの口数を買えます。
ただし、暴落がどこまで続くかは分かりません。
生活費を削ったり、借入れをしたりして追加投資することは避けます。
資産配分を確認する
下落時に不安で眠れなくなるほど株式比率が高いなら、最初の資産配分が自分に合っていなかった可能性があります。
相場が落ち着いてから、現金と投資資産の割合を見直します。
積み立ては家計に無理がなければ継続する
収入と生活費に問題がなければ、通常の積み立てを続けます。
ただし、失業や収入減少があれば、積立額を減らしたり一時停止したりする判断も必要です。
投資を続けることより、生活を守ることを優先します。
暴落は「セール」ではあるが、ボーナスステージではない
積立中に価格が下がると、同じ金額で多くの口数を購入できます。
その後に市場が回復すれば、下落中に購入した分が資産増加へつながる可能性があります。
しかし、
- どこまで下がるか
- いつ回復するか
- 回復前にお金が必要になるか
- 自分の収入が維持されるか
は分かりません。
そのため私は、暴落を「必ず利益になるボーナスステージ」とは考えません。
長期積立を続けられる人にとっては、将来の平均購入価格を下げられる可能性がある一方、回復時期が分からない厳しい局面
と捉えています。
金融庁も、長期・積立・分散によってリスクの軽減が期待できると説明していますが、元本保証や将来の利益を約束しているわけではありません。(金融庁)
オルカンを保有していても、NASDAQ100を増やしすぎない
私はNASDAQ100も保有しています。
NASDAQ100は、米国の大型テクノロジー企業などへの投資比率が高く、オルカンより集中度と値動きが大きくなる可能性があります。
以前は、オルカンを守り、NASDAQ100を攻めと考え、両方を同程度まで増やそうとしていました。
しかし現在は、
- オルカンをコア
- NASDAQ100をサテライト
- NASDAQ100は通常、金融資産の20%前後を目安
- 一時的に増えても30%程度を上限
- 今後のオルカン積み立てで比率を薄める
という方針です。
オルカンを持っているから、NASDAQ100でどれだけリスクを取ってもよいとは考えていません。
資産全体でどの程度の下落に耐えられるかを基準にします。
私がオルカンを保有し続ける理由
オルカンにも、
- 株価下落
- 円高
- 元本割れ
- 長期低迷
- 海外市場や制度の変化
などのリスクがあります。
それでも私が資産形成の中心としているのは、将来の勝ち組を自分で予想するよりも、
世界の株式市場全体へ広く分散し、その変化を受け入れる
方法の方が続けやすいと考えているためです。
MSCI ACWIは、先進国と新興国の大型・中型株へ広く投資し、世界の株式市場の変化を反映するよう設計されています。(MSCI)
米国が今後も中心であり続けるか、日本が再び存在感を高めるか、新興国が伸びるかは分かりません。
私はその答えを当てるのではなく、世界全体を保有する方針を選びました。
まとめ:オルカンは万能ではないが、世界へ分散する手段になる
オルカンについて確認したポイントは、次のとおりです。
- 全世界へ分散していても、大幅に下落する可能性がある
- オルカンは預金ではなく、元本保証もない
- 円換算の評価額は、株価と為替の両方で動く
- 株安と円高が重なると、円換算の下落が大きくなりやすい
- 円安は評価額を押し上げる場合があるが、生活費も上がる可能性がある
- 為替は損失を必ず相殺する仕組みではない
- 国や企業の比率は、時価総額などに応じて変化する
- 指数の入れ替えは、損失を防いだり回復を保証したりする機能ではない
- 暴落時に多くの口数を買えても、回復時期は分からない
- 近く使うお金と生活防衛資金は、投資から分けておく
オルカンは、「これさえ買えば絶対に安心」という商品ではありません。
それでも、
- 日本円だけへ資産を集中させない
- 世界各国の企業へ分散する
- 国や企業の変化を指数へ反映させる
- 自分で将来の成長国を予想しない
という目的には適していると考えています。
オルカンを信じれば必ず儲かるのではなく、リスクを理解したうえで、自分が続けられる範囲で保有する。
これが、現在の私の方針です。
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この記事は、筆者個人の投資経験と公開資料をもとに、全世界株式と為替の仕組みを整理したものです。特定の金融商品、投資方法、資産配分を推奨するものではありません。投資信託には価格変動、為替変動、信用、流動性などのリスクがあり、元本は保証されません。指数の構成、商品内容、手数料などは変更される場合があります。購入前には最新の交付目論見書や公式情報を確認し、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。


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